就職活動や転職活動でよく耳にする「TOEIC (トーイック、トイック)」のスコア。
そもそもTOEICとはどんな試験なのでしょうか。
この記事で解消する疑問
- TOEIC試験には、どんな種類があるのか?
- TOEIC試験では、どんなスキルを測るのか?
- TOEIC試験では一体どんなことをするのか?
- TOEIC試験の受験やスコアを上げるメリットは?
上記のような疑問を持っている方を対象に、試験の種類や特徴、受験するメリットなどについて基礎知識を伝授いたします。
TOEIC試験とは?
国際コミュニケーション英語能力テスト「Test of English for International Communication」のことで、通称「TOEIC(トーイック、トイック)」と呼ばれています。
英語によるコミュニケーションや、ビジネス能力を検定するための試験です。英語能力の測定試験グローバルスタンダードとして、世界約160ヶ国で実施、活用されています。
TOEIC試験の開発、運営、評価は、アメリカにある非営利団体である教育試験サービス「Educational Testing Service (ETS)」が行っています。
TOEIC試験:2つのブランドと5種類の試験
一般的に「TOEIC試験」というと、「TOEIC Listening & Reading Test」のことを指します。「TOEIC L&R」と示すこともあります。
しかし、教育試験サービスETSが提供するTOEIC試験は、TOEIC Programと言い、実は5種類の試験があります。前述の「TOEIC L&R」はその中の一つです。
提供している5種類のTOEIC試験は、大きく2つのブランドに分かれています。一般的な「TOEIC Test」と、初級者・中級者を対象とした「TOEIC Bridge Test」です。
TOEIC試験ブランド:TOEIC Test (一般)
グローバルビジネスや日常生活における活きた英語の能力測定を目的とする、世界共通のテストです。
聴く・読む力を測る「TOEIC Listening & Reading Test」と、話す・書く力を測る「TOEIC Speaking & Writing Tests」、話す力だけを測る「TOEIC Speaking Test」の3種類があります。
英語に関する4つの技能(聴く・読む・話す・書く)全ての英語コミュニケーション能力を測ることができます。
TOEIC試験ブランド:TOEIC Bridge Test (初級・中級)
英語学習の初級者から中級者を対象とし、日常生活における活きた英語の能力を測定する、世界共通のテストです。
聴く・読む力を測る「TOEIC Bridge Listening & Reading Tests」と、話す・書く力を測る「TOEIC Bridge Speaking & Writing Tests」の2種類があります。
TOEIC Testと同様に、英語に関する4つの技能(聴く・読む・話す・書く)全ての英語コミュニケーション能力を測ることができます。
TOEIC試験:種類別の特徴と概要
先ほど、5種類の試験があることを紹介しましたが、そもそもTOEIC試験とは、どのような形式の試験なのでしょうか?
ここでは、TOEIC Testの試験の特徴と概要を詳しく見ていきます。
TOEIC Listening & Reading Testの特徴と概要
特徴
英語によるコミュニケーション能力を幅広く測る試験です。「TOEIC」または「TOEIC L&R」と表現されます。
日常的な身近なシーンからビジネスまで、幅広い場面でのコミュニケーション能力を測りたい方や、初級から上級まで世界共通のモノサシで英語能力を確認したい方に向いています。
概要
- 問題数:200問 (リスニング100問、リーディング100問)
- 制限時間:2時間 (リスニング45分・リーディング75分)
- 試験形式:マークシート方式
- スコア:10~990点満点 (リスニング495点満点、リーディング495点満点)
TOEIC Speaking & Writing Testsの特徴と概要
特徴
英語によるコミュニケーションするために必要な、話す・書く能力を直接測る試験です。「TOEIC S&W」と表現されます。
国際的なビジネスコミュニケーションの場面において、英語による発信能力を測りたい方や、TOEIC L&Rを活用しながら英語の4技能(聴く・読む・話す・書く)をバランスよく測りたい方にお勧めです。
概要
- 問題数:19問 (スピーキング11問、ライティング8問)
- 制限時間:1時間20分 (スピーキング20分、ライティング60分)
- 試験形式:パソコンとヘッドセットを使用 (自宅ではなく、会場で実施されます)
- スコア:0~400点満点 (スピーキング200点満点、ライティング200点満点)
TOEIC Speaking Testの特徴と概要
特徴
英語でコミュニケーションするために必要な、話す能力を直接測る試験です。「TOEIC Speaking」と表現されます。
英語を母国語とするネイティブスピーカーや、英語に堪能なノンネイティブスピーカーに理解しやすい言葉で話せるかを測りたい方、日常生活において、また仕事上必要なやりとりをするために適切な表現を使えているかを測りたい方にお勧めです。
概要
- 問題数:11問
- 制限時間:20分
- 試験形式:パソコンとヘッドセットを使用 (自宅ではなく、会場で実施されます)
- スコア:0~200点満点
TOEIC試験:スコアと英語力の関係
TOEIC試験は、「合格・不合格」の合否判定ではなく、聴く「短い/長い会話や聴解文」能力と読む「文法・単語・読解」能力などを「セクション別スコア/トータルスコア」で結果が示されます。
スコアの計算は統計処理に基づいて算出されているため、同じ英語力の人なら、何回試験をうけてもほぼ同じスコアが算出されるようになっています。
英語習熟度レベルを示す指標「CEFR」
TOEIC試験のスコアと英語力の関係を説明するため、英語力の指標となる「CEFR(セファール)」について紹介いたします。
ヨーロッパで作成された外国語学習者の習熟度レベルを示すガイドライン「CEFR」では、各習熟レベルに応じて、以下のような特徴の英語力が認められると定められています。
分類 | レベル | 認められる英語力 |
---|---|---|
熟練した 言語使用者 |
C2 | ・聞いたり読んだりした、ほぼ全てのものを容易に理解することができる。 ・いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、 根拠も論点も一貫した方法で再構築できる。 ・自然に、流暢かつ正確に自己表現ができる。 |
C1 | ・いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。 ・言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。 ・社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、 言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。 ・複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章を 作ることができる。 |
|
自立した 言語使用者 |
B2 | ・自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、 複雑な文章の主要な内容を理解できる。 ・母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい 流暢かつ自然である。 ・幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。 |
B1 | ・仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、 標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。 ・その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、 たいていの事態に対処することができる。 ・身近な話題や個人的に関心のある話題について、 筋の通った簡単な文章を作ることができる。 |
|
基礎段階の 言語使用者 |
A2 | ・ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、 直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。 ・簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、 単純で直接的な情報交換に応じることができる。 |
A1 | ・具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な 言い回しは理解し、用いることができる。 ・自分や他人を紹介することができ、住んでいるところや、誰と知り合いであるか、 持ち物などの個人的情報について、質問をしたり、答えたりすることができる。 ・もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助けが得られるならば、 簡単なやり取りをすることができる。 |
次に、世界で実施されている各資格・検定試験とCEFRの定めるレベルとの関係を見ていきましょう。
各資格・検定試験とCEFRとの対照表
英語力に関する各資格・検定試験と、「CEFR」との対照表を確認して見ましょう。
この表を見ると、TOEIC試験ではCEFRのA1~C1レベルをカバーしていることが分かります。一番右端の列に、TOEIC試験のスコアが示されています。ここでのスコアは、TOEIC L&R と TOEIC S&W の合計点を示しています。
TOEIC試験のスコアとCEFRの対照表
合計点の表記だと分かりづらいと思います。次にTOEIC試験を運営しているIIBCが発表している表を見てみましょう。
上記の表からも、TOEIC試験はCEFRのA1~C1レベルをカバーしていることが分かり、TOEIC試験のスコアを以下のようにマッピングすることができます。
- CEFR C1レベル:TOEIC L&R 945~990、TOEIC S&W 360~400
- CEFR B2レベル:TOEIC L&R 785~945、TOEIC S&W 310~360
- CEFR B1レベル:TOEIC L&R 550~785、TOEIC S&W 240~310
- CEFR A2レベル:TOEIC L&R 225~550、TOEIC S&W 160~240
- CEFR A1レベル:TOEIC L&R 120~225、TOEIC S&W 80~160
TOEIC試験と英語検定試験の対照表
最後に、日本で実施されている英語検定試験の各級と、TOEICスコアの関係を掲載しておきます。現在、TOEIC試験の受験を検討されている方で、英検の資格を持っておられる方は参考になると思います。
TOEIC試験:受験するメリット
TOEIC試験のスコア、現在は特に「TOEIC L&R」のスコアは、様々な場面でアピールすることができます。「人生の転機」となる場面で、あなたの可能性を広げ、大きなチャンスをつかむ武器になると思います。
「日本に居るのに、なぜ英語力がアピールポイントになるのか?」については、以下の記事も合わせて読んでいただけると理解が深まると思います。
こちらもCHECK
-
英語を習得する必要は本当にあるのか?
日本に住みながら英語を習得する必要はあるのか・・・そんな疑問を持たれた方、持っておられる方は多いと思います。本当に必要なのか、必要ないのか。それを判断することは非常に重要です。英語の必要性について判断するための情報、そう感じていただくための周辺情報をご紹介したいと思います。
続きを見る
ここでは、TOEIC試験を受験するメリットとして、「TOEIC L&R」のスコアをアピールできる場面についてご紹介いたします。
昇進・転職・海外赴任などの「キャリアアップ」に!
TOEIC試験のスコアを昇進や昇格の「要件」「参考」としている企業の比率は、アンケート結果によると約4割だそうです。
また、海外出張や海外赴任者の選抜の「要件」「参考」としている企業の比率は5割を超えているとのことです。(IIBCより)
昇進、昇格、転職、海外赴任などのチャンスがあっても、該当の人事部が考えている「要件」を満たしていなければ、チャンスをつかむことはできません。
英語力はスグに身につく能力ではありません。チャンスの到来に備えてスコアを上げておき、チャンスを確実につかめるように準備をしておくと、キャリアアップにつながる可能性があります。
就職活動で「内定獲得」に!
TOEIC試験のスコアを、新卒採用や英語を使用する部署での採用の「要件・参考」としている企業は約6割あるとされています。就職活動中はもちろん、入社後のアピール材料になること間違いなしです。
例えば、履歴書にTOEIC試験のスコアを記載すれば、書類選考や面接で人事が迷った場合など、選考する際のファクターとして注目される可能性があります。
あなたが履歴書を提出する企業は、大学・選考学科などが似た経歴の学生から多くの応募があります。書類選考で、または面接後の選考でまわりに差をつけるためのアピール材料になります。
大学などの進学を「スムーズ」に!
全国の国公立大学や私立大学の入学試験において、「英語試験免除」や「推薦入試の出願要件」「合否判定」などの基準として、TOEIC試験のスコアが活用されています。
また、大学・短大・高等専門学校に入学後、単位認定でTOEIC Programのスコアが活用できます。TOEIC試験の受験と大学の履修計画を上手に立て、就活でまわりに差をつけられるよう、効率的に勉強しましょう。
資格取得やボランティア活動を「有利」に!
「TOEIC L&Rスコア 900以上」「TOEIC Speakingスコア 160以上」「TOEIC Writingスコア 170以上」のいずれかで、通訳案内士の英語筆記試験が免除になります。
また、海外でのボランティア活動を行いたい、現地民族の生活を支援したいなど、海外で活動している団体に応募する際にもTOEIC試験のスコアが活用されています。
TOEIC試験:対策におすすめの教材
皆さんは何か試験を受験する時、資格習得の勉強の仕上げをするときにどのような教材を使用しますか?
例えば、高校受験、大学受験、センター試験や資格習得のための試験。
そう、皆さん「過去問」を学習の教材に使ったり、最後の仕上げに利用しますよね。
しかし、TOEIC試験では、受験時に配布された問題冊子は試験終了後に漏れなく回収されます。受験者数と回収した問題冊子の数が合わない場合、試験会場から退出させてもらえないくらい、厳重に管理・回収されます。
ここでは、TOEIC試験対策の教材として、TOEIC試験の問題を開発しているETSが出版している公式問題集をご紹介いたします。
TOEIC試験の過去問と言って良いですし、いくつかの問題は類似したものが出題されることもあります。CDが付属しており、リスニングの対策も本番と同じナレーションの方で収録されており、TOEIC試験の雰囲気や出題問題の雰囲気をつかみたい方にもおすすめです。
注意
TOEIC試験は、2016年5月から試験内容が一部変更され、現在の試験は「新形式」と呼ばれています。この「新形式」に対応した公式問題集はVol.4からとなっていますので、購入の際はご注意ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。TOEIC試験についの理解が深まりましたでしょうか。海外からの外国人労働者が増え、何かと英語力を問われるようになった昨今、自身の英語力を測り、それを証明することができるのがTOEIC試験です。
是非一度受験し、自分のスキルアップにつなげてみてはいかがでしょうか。
参考にしたサイト